「新NISAでオルカンを買えば安心」と聞いたものの、「本当にそれでいいのか」といった不安はありませんか?
この記事では、新NISA制度の仕組みから、オルカンとS&P500の違い、初心者が陥りやすい落とし穴まで分かりやすく解説します。
分散投資の本質や注意点を知り、自分に合った賢い選択をしましょう。
新NISAとは?
新NISAで投資を始めようと考えている方にとって、「オルカン」という言葉はよく目にするものの、具体的にどういうものか分かりにくいかもしれません。
ここでは、新NISAの制度概要とオルカンという投資商品の特徴をやさしく解説していきます。
新NISAの制度概要と2つの投資枠
新NISAは2024年から始まった新しい少額投資非課税制度で、2つの投資枠が用意されています。
区分 | 年間投資上限額 | 投資対象 | 特徴 |
つみたて投資枠 | 年間120万円 | 金融庁認定の投資信託 | 毎月積立で長期・分散投資に適している |
成長投資枠 | 年間240万円 | 個別株、ETF、 投資信託など幅広い商品 | 一括購入可能で、短期~中期運用にも対応 |
共通の特徴 | 合計1800万円(うち成長投資枠は最大1200万円) | 非課税期間は無期限 | 両枠の併用が可能 目的に応じた使い分け可能 |
1.つみたて投資枠
年間120万円まで認定された投資信託を定期的に積立でき、長期分散投資に向いています。
2.成長投資枠
年間240万円まで個別株やETFなど幅広い商品に投資が可能です。
非課税期間は無期限で、生涯の非課税投資枠は最大1200万円です。
どちらの枠も併用できるので、ライフスタイルや投資目的に合わせて柔軟な運用が可能です。
オルカンとは?
オルカン(全世界株式インデックス)とは何か
「オルカン」とは、正式名称を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といい、世界中の株式市場に分散投資できるインデックス型の投資信託です。
米国や日本、ヨーロッパだけでなく、新興国も含めた数千社の株式で構成されています。
先進国から新興国までの成長に幅広く投資できるのが特徴で、アメリカ、中国、日本などの主要企業に間接的に出資する形になります。
初心者でも手軽に世界全体の成長に乗ることができるため、近年では注目度が高まっています。
なぜ今オルカンが注目されているのか
オルカンが注目される理由のひとつは、1本で「世界分散投資」が完結する手軽さです。
特に投資初心者にとっては、銘柄選定の手間が不要な点が大きな魅力です。さらに、新NISAの非課税制度との相性も良く、長期的に成長が見込まれる世界経済に広く投資できる点も評価されています。
信託報酬も低水準でコスト面でも始めやすくなっており、初心者を中心に人気が高いです。
新NISAでオルカンを選ぶ際の注意点
オルカンは世界中に分散投資できる魅力的な商品ですが、一方で見落とされがちな注意点もあります。
以下では、初心者が知っておきたい注意点を説明します。
注意点①:新興国や日本株の比率も含まれる
オルカンは全世界の株式が対象なので、成長が期待しづらい地域や市場も含まれます。
特に日本株はGDPに対して比率が高く、投資効率が低いと感じる人もいるかもしれません。
また、新興国は将来性がある一方で、政情不安や通貨の乱高下などのリスクも抱えています。こうした地域の比率も含まれているため、分散=安心と過信しすぎるのは危険です。
全世界の動向を広く取り込むため、細かい中身には差があることを理解しておく必要があります。
注意点②:為替リスクと信託報酬の影響
オルカンは海外資産にも投資するため、円高・円安の影響を受けやすくなります。
たとえ株価が上昇しても、円高が進めば日本円での評価額は下がることがあるのです。
また、投資信託には「信託報酬」という運用手数料がかかります。オルカンの代表的な銘柄である「eMAXIS Slim全世界株式」は信託報酬が低めですが、それでも長期で見るとじわじわと影響します。
為替と手数料の存在を正しく理解し、想定利回りとの差異に注意しましょう。
S&P500とオルカンを徹底比較
S&P500とオルカンは、どちらも人気のインデックス投資先です。しかし、それぞれの特徴を理解せずに選ぶと、期待と異なる結果になることも。
ここでは、利回りや構成銘柄などの違いを丁寧に解説します。
過去の利回りとチャート推移から見る違い
S&P500
出所:楽天証券 ※2025年6月16日時点
過去の利回りで見ると、S&P500は直近5年で高い成長率を示しています。
特に米国のIT大手がけん引したことで、年平均リターンが10%前後と好成績でした。
オルカン(全世界株式)
出所:楽天証券 ※2025年6月16日時点
一方、オルカン(全世界株式)はS&P500よりリターンはやや控えめですが、地域ごとの成長を取り入れているため安定感があります。
構成銘柄と地域・セクター分散の比較
S&P500は米国の代表的な500社に集中投資する指数で、構成比率は米国100%です。上位にはApple、MicrosoftなどITセクターが多く含まれています。
一方、オルカンは全世界の株式市場に幅広く投資します。米国比率は約60%で、残りは他の地域に分散されています。セクターもテクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広く含まれるため、偏りが少なく、分散効果が高いのが特徴です。
オルカン投資を始める前に
新NISAでオルカンを始めるには、金融機関選びや積立設定の工夫が大切です。
ここではおすすめの金融機関3選と、積立設定のコツを解説します。
おすすめの金融機関3選
オルカンは多くの証券会社で購入できますが、サービス内容や操作のしやすさには差があります。
1.楽天証券
画像引用:楽天証券
楽天証券はポイント投資が可能で、楽天経済圏との相性が良好です。
2.SBI証券
画像引用:SBI証券
SBI証券は取り扱い銘柄が多く、TポイントやVポイントでの投資にも対応しています。
3.松井証券
画像引用:松井証券
松井証券はアプリがシンプルで操作が直感的なため、初心者でも安心です。
どこで始めても商品の内容は同じですが、ポイント還元やアプリの使いやすさが選ぶ決め手になります。
自分の使っているポイントやスマホの使い方に合わせて、最適な証券会社を選びましょう。
積立設定と購入タイミングのコツ
新NISAでオルカンを購入するなら、毎月の自動積立がおすすめです。
購入のタイミングを気にせず、相場の上下に影響されにくい「ドルコスト平均法」を活用できます。
例えば毎月1日に一定金額を積み立てるよう設定しておけば、安いときに多く買い、高いときには少なく買える仕組みになります。なお、購入日や引き落とし日、ボーナス月の増額設定なども選べます。
設定時は「余裕のある金額」で無理なく続けられるようにしましょう。
継続していくことが最も重要です。
初心者が気をつけるべき落とし穴と注意点
オルカン投資でよくある失敗は、短期間で結果を求めすぎることです。
価格が下がると不安になり、途中で売却してしまう人が少なくありません。
特にニュースで「株価下落」などの情報を見ると焦ることもありますが、長期投資では一時的な下落は避けられません。
また、SNSや知人の意見を鵜呑みにして売買するのも危険です。自分の投資目的とルールを持ち、継続する意志が大切です。
不安なときこそ、積立を止めずに続けることが成功への近道になります。
オルカン一本で大丈夫?他の選択肢との組み合わせ方
オルカンは優れた分散投資商品ですが、それだけで資産形成を完結させてよいか不安な方も多いはずです。ここでは代表的な組み合わせ例や考え方を紹介します。
ナスダック100や日本株との併用戦略
オルカンに加えてナスダック100や日本株を組み合わせることで、リターンを狙う積極的な運用が可能です。
ナスダック100は米国の成長企業が中心で、特にAIやITなどの分野に強みがあります。
一方、日本株は円建てでの投資となるため、為替リスクの一部回避が可能です。
例えば、資産全体の70%をオルカン、20%をナスダック100、10%を日本株とする構成なら、分散と成長性をバランスよく取り入れられます。
こうした補完的な組み合わせにより、リスクを抑えつつ収益拡大が狙えます。
よくある質問 Q&A
Q:オルカンはやめたほうがいいって聞いたのですが、本当ですか?
A:いいえ、一概には言えません。
オルカンは全世界に分散投資できるため、特定の国に偏らず安定した運用が可能です。
自分の投資目的とリスク許容度に合わせて選びましょう。
Q:オルカンは配当金がもらえますか?再投資はどうなりますか?
A:多くのオルカン(例:eMAXIS Slim 全世界株式)は「配当金を自動で再投資するタイプ」です。つまり、配当を受け取るのではなく、ファンド内で再投資される仕組みです。
これにより複利効果が得られ、効率よく資産を増やせます。
Q:新NISAで買ったオルカンの売却時に税金はかかりますか?
A:年間投資枠の範囲内であれば、新NISA口座内での売却には税金がかかりません。
非課税の恩恵を受けられるのは、購入から売却まで新NISA口座内で完結した場合です。
まとめ|新NISAでオルカンを選ぶべきか迷っている方へ
新NISAでの資産形成を考えるうえで、オルカンは初心者にとって非常に扱いやすく、1本で全世界に分散投資できる点が大きな魅力です。
米国株に偏らない安心感や、非課税制度との相性の良さも支持される理由のひとつですが、構成比率や為替リスクなど、見落としがちな注意点もあります。
自分の投資目的とリスク許容度を踏まえて選択し、無理のない運用を続けていきましょう。
※本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の情報は各証券会社の公式ホームページをご確認ください。
※最終的な判断はご自身でお願いいたします。